ネックの反りを自分で直すなんて、なんかこわいなぁ…。
ある程度のギター歴、ベース歴があっても、ネックの反りを自分で直す勇気がない人は意外と多いかもしれません。なんとなく反っている気はするけれど、どのくらい反っているのかイマイチ分からなくて、手を出しにくいんですよね。
ですが、ネックの状態を正しく把握することさえできれば、直すこと自体はかんたんです。ネックの反り具合を確認するのも、決して難しいことではありません。
きちんとネックを調整すれば、とても演奏しやすくなります。これを期にぜひ挑戦してみましょう!
ネックの反りの確認方法
ブリッジサドルからナットまで、弦は曲がることなく一直線に張られています。
この「弦=直線」を利用して、ネックの反り具合を「目」でチェックします。
では、実際の手順を見ていきましょう。
フレットと弦の隙間を見る
まずは正しくチューニングします。
つぎに、3弦か4弦(ベースなら2弦か3弦)の1フレットを押さえ(カポを使ってもOK)、同時に最終フレットも押さえます。
押さえた2点のちょうど中間あたりのフレットに注目し、弦とフレット頂点にどの程度の隙間があるかを見てみましょう。
一般的に、ごくわずかな隙間がある状態(わずかな順反り状態)がベストだと言われています。隙間がハガキ1枚程度、およそ「0.25mm程度」ならネックは適正な状態といえるでしょう。
それ以上の隙間が空いているようならネックは順反りの状態、隙間がまったくないなら逆反りの状態です。(完璧にストレートな状態という可能性もあり)
- 順反り…横からみてUの字にネックが反っている状態
- 逆反り…順反りとは真逆、山なりにネックが反っている状態
隙間があるかよく分からない場合、空いている指をつかって弦を上からポンポンと叩いてみると分かりやすいかもしれません。
家にハガキがあれば、実際に挟んで確認してみるのもよいでしょう。
ネックの反りの直し方
ネックの反りは、「トラスロッド」を回すことで調整します。
トラスロッドとは、ネック内部に仕込まれた金属の棒で、六角レンチを使うことで「締める」または「緩める」ことができます。
トラスロッドの調整は、ネックの先端側からレンチを差し込んで行うタイプ、その反対側から差し込むタイプなど、ギターによってさまざまです。
いずれの場合でも、トラスロッドを回す向きは共通です。順反りを補正したいならロッドを右へ回して締め込み(時計回り)、逆反りを補正したい場合はロッドを左に回して緩めます(反時計回り)。
- 順反りの場合…右へ回して締める(時計回り)
- 逆反りの場合…左へ回して緩める(反時計回り)
ロッドを回すときは一気にグッと回すのではなく、様子をみながら少しずつ回しましょう。目安としては、時計の針でいう5~10分程度を回しては再度ネックをチェック、という感じがおすすめです。
ネックを取りはずさないと調整できない場合は…?
ギターのタイプによっては、トラスロッドの調整をする際、ネックをボディから取りはずさなければなりません。この場合、以下の手順で調整します。
- 弦を緩めてネックをボディから取りはずす (弦を張ったまま)
- トラスロッドを回す
- 再びネックをボディにセットする
- チューニングをする
- ネックの反りを確認する
- 問題があれば手順1からやり直す
これをネックが適正な状態になるまで繰り返します。手間がかかるので面倒ですが、時間の余裕があるときに根気よく調整しましょう。
こんなときはリペアショップへ!
単純なネックの反りなら個人でも簡単に直せますが、ギターのコンディションによっては、リペアショップに依頼したほうがよい場合もあります。
フレットの高さにムラがある場合
使い込んだギターの場合、ポジションによってフレットが著しく減っていたりして、各フレットごとに高さのムラが生じていることがあります。
フレットの高さにムラがあると、ネックの反り具合を正確に判断することが難しく、仮にネックの反りをベストな状態にできたとしても、音詰まりやビビリの問題が解消できないことがあります。
この場合は、リペアショップでフレットの擦り合わせや打ち直しをしてもらうのが先決です。
ネックの反り方が普通ではない場合
よくある順反りや逆反りと違い、ネックが波打つように曲がっていたり、捻れてしまっているケースもあります。
複雑に反ってしまったネックを自分で直すのは困難なため、素直にリペアショップに持っていくのがよいでしょう。
トラスロッドが回らない場合
トラスロッドを最後まで回しきってしまった場合、当然ですがそれ以上は回りません。
こうした状況なら、やはりリペアショップに依頼するべきでしょう。
おわりに
ネックの反りの直し方について解説しました。
ネックは気候(湿度)の変化にとても敏感です。湿度の変化が激しい時期は、1日ごとにネックの反り具合が変わってしまうほどです。そのため、日頃から温度や湿度に気を配りつつ、まめにネックの状態を確認する習慣をつけるとよいでしょう。
ネックが適正な状態でないと、弦高が妙に高くなってしまったり(下げられない状態)、音が伸びずに詰まってしまったり、許容をこえるビビリ音が鳴ってしまったり、とにかく良いことがありません。確認の仕方や直し方をしっかりマスターして、自分自身でコンディションをキープできるようにしましょう。
↑ギターやベースの調整のほとんどはこれ1つでOK。ミリ・インチ両対応なので、大抵のギター・ベースに使えます。