【ギター】「初心者はトライアングル型のピックを使え」は無視したほうがいい

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「初心者はトライアングル型(オニギリ型)のピックを使ったほうがよい」という意見をたびたび見聞きします。

ですが、こうした意見は単なる決めつけに過ぎないので、無視して構いません。

この記事では、「初心者はトライアングル型のピックを使うべき」を無視したほうがよい理由について解説します。

トライアングル型は少数派のピック

まず、トライアングル型は少数派のピックである、という事実を知っておくべきでしょう。

どういうわけか日本では、初心者にトライアングル型のピックを勧める人がたくさんいます。その勧めを真に受けて、実際にトライアングル型のピックを手にする人も多い印象を受けます。

しかし、アメリカをはじめとする海外諸国では、ティアドロップ型のピックが「スタンダード(=標準)」として扱われていて、トライアングル型は少数派のピック、という扱いなのです。

その証拠をいくつか見ていきましょう。たとえば、ギターやベースのアクセサリーメーカーとして有名な「Jim Dunlop(ジムダンロップ)」の製品ラインナップを見ると、ティアドロップ型のピックに「standard(スタンダード)」という名称がつけられています。

画像引用元:ジムダンロップ公式サイト
画像引用元:ジムダンロップ公式サイト

また、アメリカの楽器系通販サイトの大手「Sweetwater」では、ティアドロップ型のことを「Shape(形):Standard」と表記しています。

「Shape」の欄に、「Standard」と表記されている。
画像引用元:Sweetwater
画像引用元:Sweetwater

さらに、このサイトの「Guitar Picks」というカテゴリページを開くと、販売されているピックが「Most Popular(人気順)」で表示されますが、上位のほとんどがティアドロップ型のピックです。

人気順の上位はほとんどがティアドロップ型のピック。
画像引用元:Sweetwater

トライアングル型のピックは、1ページ目の最下段まで見ても登場せず、2ページ目にしてようやく登場します。順位としては「43番目」です。(2023年9月29日時点)

1ページ目の最下段まで見ても、トライアングル型は確認できない。
画像引用元:Sweetwater
2ページ目にして、ようやくトライアングル型が確認できる。
画像引用元:Sweetwater

つまり、トライアングル型のピックは、国際的な基準で見た場合、ティアドロップ型と比べて「明らかに不人気」なのです。

こうした結果について、「中~上級者がティアドロップ型を好んでいるだけで、初心者はトライアングル型を選んでいるのでは…?」と思う人もいるかもしれません。しかし、初心者の多くがトライアングル型を選んでいるならば、ティアドロップ型がスタンダードとして扱われたり、トライアングル型が不人気となるはずありません。一般的に、ギターやスポーツなどを嗜む層は、初心者が最も多いのです。

もし、海外諸国の初心者の多くがトライアングル型のピックを選んでいるならば、トライアングル型のほうが「スタンダード」になるでしょう。通販サイトの「人気順」も、トライアングル型のピックが最上位となるはずです。

ですが、現状はそうではないのです。それはつまり、初心者“も”トライアングル型を選んでいない、ということを意味します。

要するに、海外諸国においてトライアングル型のピックは、初心者や上級者といったことは関係なく、正真正銘の少数派ピックというわけです。

そんな少数派のピックを初心者に勧める人が、なぜか日本では多いのです。その理由は僕もさっぱり分かりません。日本では何十年も前からそうした風習があり、それが今でも続いているのです。

もちろん、トライアングル型のピックを使うのが悪いわけではありません。どんなピックを使おうと個人の自由です。しかし、ここで述べたような「事実」は知っておくとよいでしょう。

「トライアングル型がよい」の理由は大したものではない

初心者にトライアングル型のピックを勧める人たちは、何かしらの理由を述べていることが多いでしょう。たとえば、「トライアングル型は正しい弾き方を身につけやすい」とか、「トライアングル型のほうが大きくて持ちやすい」などといったものです。

しかし、これらの理由はいずれも単なる決めつけでしかありません。「別にそんなことはない」のです。

まず、「トライアングル型は正しい弾き方を身につけやすい」といった意見ですが、この主張はそもそもおかしいのです。ギターには「正しい弾き方」が存在しません。「正しい」が定義されていないからです。世界トップクラスのギタリストを見ても、弾き方は面白いほどバラバラです。にも関わらず、自分の弾き方を勝手に「正しい」と主張し、自分と異なる弾き方を「よくない」と決めつけたがる人がとても多いのです。

この「決めつけ」は、自分が周囲の人たちよりも優れている存在でありたい、そのことを周囲に認めさせたい、という「承認欲求」が強く働いた結果でしょう。ギターを教える人たちのなかにも、承認欲求の強い人がたくさんいるのです。

仮に「正しい弾き方」というのが、綺麗に弾ける弾き方、バランスのよい音が出る弾き方を指すのだとしましょう。であれば、トライアングル型のピックを使っていても、そうでない弾き方(あまりよくない弾き方)に陥る可能性は充分にあります。現に、トライアングル型のピックを使っている人で、綺麗に弾けていない人、バランスの悪い音を出している人など、いくらでも見つかるでしょう。

そもそも、ほとんどの初心者は、使っているピックが何であれ、あまりよくない弾き方に陥るものです。その後、ギターと向き合うなかで、より良い弾き方を模索していくことになります。そして、それでよいのです。

続いて、「トライアングル型のほうが大きくて持ちやすい」といった意見ですが、これも本人の思いこみでしかありません。トライアングル型のピックのほうがティアドロップ型より大きいのは事実ですが、大きいピックを持ちやすいと感じるかどうかは人によるのです。

単に自分がトライアングル型のピックを使っていて、「なんとなくトライアングル型のほうがよいと思うから…」といった、なんとも漠然とした理由でトライアングル型のピックを勧めてくる人もいるでしょう。「なんとなく」と正直に言ってくれればまだよいですが、そんな人に限って、ここで述べたような「それっぽい理由」を述べたりするものです。

いずれにしても、「初心者はトライアングル型のピックがよい」の理由は、大したものではないのです。だからこそ、無視して構わないのです。

ティアドロップ型も候補に入れて「自分」で選択すべき

念のためですが、僕はトライアングル型のピックそのものを否定したいわけではありません。僕が否定したいのは、妙な理屈とともに「他人の選択肢を奪おうとすること」です。

ギターの先生やギター歴の長い人が、「初心者はトライアングル型のピックがいいよ」などと言えば、素直な人はすぐに従ってしまうでしょう。

ですが、何度も言うように、トライアングル型は国際基準で見て「明らかに少数派のピック」です。トライアングル型のほうがティアドロップ型より優れている、などということもありません。

初心者がピックを選ぶ場合は、最も一般的なティアドロップ型をきちんと候補に入れるべきです。もちろん、トライアングル型も候補に入れてよいのですが、トライアングル型が少数派のピックであることは理解しておくとよいでしょう。

いちばんよいのは、ティアドロップ型とトライアングル型の両方を買っておいて、きちんと使い比べてみることです。しばらく試してみて、しっくりときた方を使えばよいでしょう。

といっても、「どちらがしっくりくるのか自分でもよく分からない」という人もいるかもしれません。そんな場合はシンプルに考えればOKです。「ティアドロップ型が多数派だから…」という理由でティアドロップ型を選んでもよいし、「トライアングル型のピックのほうがデザインがかわいいから…」といった理由でトライアングル型を選んでも問題ありません。

どのみちギターを続けていれば、右手のピッキングや使用ピックについて、深く考え直すことになります。そのため、最初は直感的に決めてしまっても問題はありません。

ちなみに、ピックの材質として最も一般的なのは「セルロイド」です。ほかにも多くの材質がありますが、何を使えばよいか分からない人は、セルロイドのピックから試してみることをおすすめします。

おわりに

「初心者はトライアングル型のピックを使うべき」を無視したほうがよい理由について解説しました。

僕自身は普段、ごく普通のティアドロップ型のピックを使っていますが、ギターを始めて3~4年のうちはトライアングル型のピックを使っていました。「トライアングル型のピックのほうがよい」などと本に書いてあって、それを鵜呑みにしていたのです。

当時は、「本に書いてあるんだから正しい」「ギター講師が言ってるんだから正しい」と思いこんでいました。ですが、本に書いてあることやギター講師の言うことが単なる決めつけでしかない、という可能性は充分あります。事実と決めつけ(本人がそう思っているだけ)はまったく違うのです。

「初心者はトライアングル型のピックを使うべき」は、ただの決めつけなので無視しましょう。自分自身でいくつかのピックを試し、扱いやすいと感じたものを使うようにしましょう。

この記事を書いた人
なかがわ
なかがわ

ギターを弾いたり、DAWで曲を作ったりします。ベース、打ち込み、REC&ミキシング、あとたまに歌も。今まで結構な時間を音楽に費やしてきたので、少しは皆さんのお役に立てるかも、と思いブログを書いています。ゲームやマンガも好きですが、必死で自重しています。

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