【ギター】ビブラートのやり方とコツ!揺れが中途半端になってしまうのはなぜ…!?

ギター

弦を上下に揺さぶることでピッチに波をつくる「ビブラート」。

説得力のあるギターソロを弾くには必須となるテクニックです。このビブラートを身につけることが脱初心者へのカギ、といっても過言ではないでしょう。

しかし、練習してもなかなか習得できないとか、中途半端なビブラートになってしまうなど、苦労している人も多いのではないでしょうか。

この記事では、ビブラートのやり方やコツとともに、揺れが中途半端になってしまう理由について解説します。

ギターのビブラートには、弦を押さえた左手を横に揺らす「横揺れのビブラート」と、弦を縦方向に揺さぶる「縦揺れのビブラート」があります。ここでは、エレキギターで一般的に使われる「縦揺れのビブラート」について解説します。

基本的なビブラートのやり方

まずは、基本的なビブラートのやり方を確認しましょう。

ポイントは、人差し指の付け根あたりをネック下にしっかりとつけることです。(つけないやり方は後述)

きっちりとしたビブラートをかけるには、支え(支点)が重要です。この人差し指の支えをキープしたまま(押し当てたまま)、「弦を下に引きずりおろす(または上へ持ち上げる)→ 元に戻す」という動きを繰り返します。

3弦9fを薬指で下に揺らす様子。
3弦7fを人差し指で下に揺らす様子。

このとき、指の屈伸(曲げ伸ばし)ではなく、手首から先の動き、手全体の動きで弦を動かします。(指の屈伸によるビブラートは後述)

実際の動きを動画でも確認してみましょう。3弦を下方向に、1弦を上方向に揺らしています。

どの指でビブラートをかけるにしても、支点は人差し指の付け根です。人差し指の付け根を、ネック下にしっかりと当てています。

上と下、どちらに揺らせばいい…?

ビブラートをかける際、その弦を上方向か下方向のどちらに揺らすべきかを考えてみましょう。

1弦にビブラートをかける場合、下に揺らすと弦が指板から外れ落ちてしまうはずです。そのため、上に揺らす以外に選択肢はありません。

6弦の場合も同様で、上に揺らすと弦が指板から外れ落ちます。そのため、下に揺らす以外に選択肢はありません。

2~5弦に関しては、どちらに揺らしても問題はありません。各自の都合で決めればよいでしょう。

参考までに、優れた技術をもつギタリストたちのビブラートをチェックしてみると、2~5弦は下に揺らす派が多い印象を受けます。ただ、2弦に関しては1弦と同様に上へ揺らす、というギタリストもそれなりに見かけます。(ザック・ワイルドなど)

ビブラートの習得には「慣れ」が必要

ビブラートのやり方が分かっても、いざやってみると全然うまくいかない、という人がほとんどではないでしょうか。しかし、焦ってはいけません。ビブラートを習得するには、「充分な慣れ」が必要なのです。

ビブラートの際の手首周辺の動きは、日常生活ではあまり使わない類の動きです。それを突然やれと言われても、うまくできなくて当たり前なのです。

まずは、中途半端でも何でもよいので、「それっぽいもの」ができるようにしましょう。そのための練習としておすすめなのが、「伸ばす音には必ずビブラートをかける」というものです。

普段の練習で何かのフレーズを弾くときは、少しでも伸ばす音があるなら必ずビブラートをかけるようにします。うまくできなくても構いません。目的は「ビブラートの動きを習慣化すること」です。

そうやって、とにかく体に慣れさせるのです。これを毎日しつこく繰り返します。そのうち、ビブラートとは言い難かったものが、だんだんと「それっぽいもの」に近づいていくはずです。練習量や頻度にもよりますが、早ければ1か月もしないうちに、かたちになると思います。

本当に「音」が揺れているかをチェックしよう!

ある程度ビブラートができるようになったと感じたら、今度はその「音の揺れ方」に注目してみましょう。

自分ではしっかりとビブラートをかけているつもりでも、よくよく音を聞いてみると、実はほとんど揺れていない、といったことがあるはずです。

ビブラートの目的は、弦を揺らしてピッチに波をつくることです。左手を動かすことが目的ではありません。つまり、いくら左手を動かしたところで、弦が動いていないなら意味がないのです。

まともなビブラートができているかどうかは、最終的には視覚ではなく「聴覚」で判断する必要があります。何かに録音や録画をして、「耳」でチェックしてみましょう。演奏をしながら耳で判断するのは意外と難しく、つい甘く判断してしまいがちです。そのため、録音や録画をしてチェックすることをおすすめします。

ビブラートが中途半端になってしまう理由とは…?

「ビブラートっぽいもの」ができるようになったとしても、なんだか痙攣しているだけのような、中途半端なビブラートにしかならない、という人は多いはずです。

ザック・ワイルドやイングヴェイ・マルムスティーンのような、大きく速く、大胆に揺らすビブラートとなると、まるで別物のような難しさを感じることでしょう。

どうがんばっても中途半端なビブラートしかできないなら、おそらくフォームに問題があるはずです。

フォームが悪いとあまり揺れない

ここで紹介した基本のビブラートは、左手のフォームに問題があるとうまくいきません。がんばっても「微弱な揺れ」ぐらいにしかならず、大きく速く揺らすことができないのです。

では、その「問題のあるフォーム」について、詳しく見ていきましょう。

よくあるのが、下の写真のような、「指先があまり立っていない(寝ている)フォーム」です。

指板に対して指先が寝ている状態。

一応、こうしたフォームでもビブラートをかけることは可能ですが、弦を大きく揺さぶることは困難です。このまま大きく揺らそうと試みたところで、手や指の角度的な都合により、「揺らそうとする力」が弦にしっかりと伝わらないのです。

力がうまく伝わらないと、当然ですが弦は動いてくれません。しっかりとしたビブラートをかけるためには、「揺らそうとする力」が弦に伝わるフォームでなければならないのです。そのために必要なのが、下の写真のような、「指先をしっかりと起こしたフォーム」です。

指板に対して指先がきちっと立っている。

こうしたフォームであれば、弦を大きく揺らそうとした際、その力がしっかりと弦に伝わることになります。うまくできている場合、指先に弦が引っかかってくれるような感触があり、ある種の安心感のようなものを感じるはずです。

ザック・ワイルドやイングヴェイ・マルムスティーンのような激しいビブラートをマスターするには、指先をしっかりと起こしたフォームが必須となります。

ビブラートは、「あまりうまくない人」をお手本にしてしまうとなかなか上達しません。実は、プロギタリストのなかにもビブラートが上手ではない人はたくさんいるので、少し注意が必要です。

指先が柔らかすぎると失敗しやすい

「指先を起こしたフォーム」にしているにも関わらず、なぜかうまくいかない、といったこともあります。その場合、指先が柔らかすぎるせいかもしれません。

学校や会社が忙しくて練習頻度の少ない人の場合、指先が充分に硬くなっていない可能性があります。指先が柔らかいと、大胆なビブラートをかけようとした際、指先から弦がスルリと外れてしまうことがあります。(特に人差し指ビブラート)

その場合、指先が硬くなりさえすれば解決します。ビブラートの練習を集中してやっていると、3日ほどでも指先は硬くなると思います。そのうえで、うまくいくかどうかを確かめてみましょう。指先が充分に硬くなってもうまくいかないなら、何か別の問題がある、ということです。

的確ではないアドバイスのせいでうまくいかないことも…

「的確とはいえないアドバイス」を真に受けているせいでうまくいかない、といったこともあり得ます。

ビブラートに限った話ではありませんが、なにかコツのようなものを他人に教える場合、教える側の人は、自分の体に起きている現象を「言葉」に変換する必要があります。しかし、自分の体に何が起きているかがよく分からず、「いい加減な言葉」に変換してしまう人も多いのです。

よくあるのが、「ビブラートはドアノブを回すような動きで…」とか、「回転させるような動きで…」といったものです。これらは、どちらも正確な表現とは言えません。そのため、こうした言葉をそのまま正直に受け取ってしまうと、うまくいかない可能性があるのです。

では、ビブラートの動きを正確に言語化するとどうなるのでしょう?できるだけ正確に言葉にすると、「手首(腕)をひねるような回転運動」と、「手首の曲げ伸ばし(屈曲・伸展)の動き」が混ざったもの、となります。ですが、こうして正確に言語化したところで、この意味を理解して体で再現できる人など稀でしょう。つまり、ビブラートの動きを理屈で理解しようとしても無駄なのです。

ビブラートを習得するには、ビブラートの上手な人をよく観察し、「こんな感じかな…?」と鏡を見ながら真似を繰り返すのが近道です。真似を続けることで、だんだんと身についていきます。もちろん、ビブラートが下手な人をお手本にしてはいけません。

人差し指の支えがないビブラート

さて、ここからは少し違ったタイプのビブラートも見ていきましょう。

これまで「人差し指の支えが大事」と述べてきましたが、実は人差し指の付け根をネック下から離したフォームでもビブラートは可能です。

人差し指の付け根をネック下から離したフォーム。

やり方やコツに関してですが、あらためて伝えるべきことは特にありません。なぜなら、人差し指を支点にした基本的なビブラートが「本当に」できているなら、ほとんど同じ感覚で、すぐにできるからです。

強いて言うなら、人差し指の代わりに、ネック裏にそえた親指を支えとしている感じでしょうか。

一応、動画でも確認しておきましょう。

このビブラートは、指の屈伸でかけているのではありません。そこを勘違いしないでください。

このビブラートがうまくいかない場合、基本のビブラートに何か問題がある(まともにできていない)のかもしれません。基本のビブラートが本当にうまくできているかどうか、再度確認してみるとよいでしょう。

どんなときに使う…?

人差し指を支点とする基本的なビブラートは、あくまで「基本」です。弾くフレーズの内容によっては、人差し指の付け根をネック下に当てることが困難な場合もあります。

たとえば、大きく指を開いたストレッチフレーズの直後に、人差し指でビブラートをかけたい場合などです。

そうした状況下でもビブラートをかけられるよう、人差し指の支えがないビブラートも練習して慣れておくとよいでしょう。

その他のビブラート

ここまで解説したビブラートは、どれも「手首周辺の筋肉の動き」によるものですが、それとは別の動きでビブラートをかけることもできます。

指の屈伸によるビブラート

たとえば、単純に指の曲げ伸ばし(屈伸運動)によってもビブラートは可能です。

指の屈伸によるビブラートは、左手のフォームに少々の問題があったとしても可能なため、比較的簡単に感じる人が多いでしょう。人によっては、そこにアドバンテージ(優位性)を感じるかもしれません。

世界の名プレイヤーのなかには、指の屈伸によるビブラートを利用する人もいますが、どんなときでもこのビブラートを使う、という人はあまり見かけません。

大きく速いビブラートを安定してかける場合など、やはり基本のビブラートに軍配があがるでしょう。指の屈伸によるビブラートが悪いわけではありませんが、基本的なビブラートもしっかりとマスターしておくことをおすすめします。

腕ごと上下するビブラート

腕ごと上下に動かすようにしてビブラートをかける方法もあります。

このビブラートは、エリック・クラプトンが得意とするスタイルです。クラプトンのスタイルにこだわりたい人は、練習してみるのもよいでしょう。

おわりに

ビブラートのやり方やコツ、揺れが中途半端になってしまう理由などについて解説しました。

ビブラートを習得するには、どうしても一定の期間が必要になります。はじめのうちは指先が痛くなるなど大変かもしれませんが、根気よく練習を続けてみてください。

この記事を書いた人
なかがわ
なかがわ

ギターを弾いたり、DAWで曲を作ったりします。ベース、打ち込み、REC&ミキシング、あとたまに歌も。今まで結構な時間を音楽に費やしてきたので、少しは皆さんのお役に立てるかも、と思いブログを書いています。ゲームやマンガも好きですが、必死で自重しています。

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