KORGのクリップ式チューナー「Pitchclip2」を購入し、何か月か使ってみました。
結論から言うと、普段の練習に充分使えるコスパのよいチューナー、という印象です。
同じく安価で人気の「YAMAHA YTC5」との比較を織り交ぜつつ、「KORG Pitchclip2」のよかった点、いまいちだった点について解説します。
Pitchclip2のよかった点
まずは、「Pitchclip2」のよかった点についてです。
- 安価のわりに作りがよい
- 全体的にとてもスリム
- 回転しないので壊れにくい
- どう挟んでも安定する(クリップの力が強い)
- 複数のモードがないので分かりやすい
- 弾いてから反応するまでが速い
- チューニング中はオートパワーオフが無効になる
- 電池交換がラク
以下、詳しく解説していきます。
安価のわりに作りがよい
「Pitchclip2」は、リーズナブルな価格のわりに全体的な作りがしっかりしています。同価格帯である「YAMAHA YTC5」と比較すると、かなり差があるように感じました。
特に、パカッと開く可動部分ですが、適度な手応え(固さ)があり、そう簡単には壊れないだろうと感じさせてくれます。
全体的にとてもスリム
「Pitchclip2」はクリップ式チューナーのなかでも特にスリムなほうで、がさばらないのもメリットと言えそうです。
「YAMAHA YTC5」と比べると、厚みにかなりの差があります。
回転しないので壊れにくい
クリップ式チューナーの多くは、ディスプレイ部分を回転させて自分の見やすい位置に調整することができますが、「Pitchclip2」はそれができません。
これをデメリットと捉える人も多いのですが、個人的にはむしろ大きなメリットだと思っています。なぜなら、ユルユルになってしまう心配がないからです。
回転させるタイプのものは、使い続けるうちに回転軸の部分がだんだんと緩くなりがちです。そうなると、少し傾けるだけでも勝手にグルンと回ってしまい、とても使いづらくなります。
上の写真の「YAMAHA YTC5」は、たいして使っていなかったにも関わらず、1年ほどで回転軸がユルユルになってしまいました。
「Pitchclip2」は回転しない作りになっているので、こうした心配をする必要がありません。
クリップの力が強めで安定しやすい
「Pitchclip2」はクリップの挟む力が強いため、ヘッドの隙間ならば大体どこにでも取りつけられるはずです。
「ここは厳しいかな…」という場所でも挟むことができてしまうので、ほとんどの人が困ることなく使用できると思います。
ちなみに「YAMAHA YTC5」の場合、挟めそうに思えて挟めない(クリップが滑ってバチンと外れる)場所が多く、少しストレスに感じることがありました。
複数のモードがないので分かりやすい
「Pitchclip2」には複数のチューニングモードがなく、単純な電源のオンオフしか操作がありません。
あくまで自分の場合ですが、たくさんのモードがあっても結局は使わないので、「Pitchclip2」のようにシンプルな仕様のほうが使いやすいと感じました。
レギュラーチューニング以外も対応可能
モードがひとつとはいえ、もちろんレギュラーチューニング以外(半音下げなど)も可能です。
「Pitchclip2」のディスプレイには、いま鳴っている音の高さが「G、G#、A…」と音名で表示されます。目的の音の高さを把握さえしていれば、さまざまな種類のチューニングに対応できます。
たとえば、半音下げチューニングにするなら6弦をEではなくD#に、5弦をAではなくG#に…といった具合に、ディスプレイの音名を確認しながらチューニングしていけばOKです。
弾いてから反応するまでが速い
「Pitchclip2」は、弦を弾いてからチューナーが反応するまでが速く、ストレスを感じずに素早くチューニングが可能です。
「YAMAHA YTC5」の場合、弦を弾いてからチューナーが反応するまで少しだけ待つような感じでしたが、「Pitchclip2」は一瞬で反応してくれます。
低音弦に対する反応も良好で、ベースのチューニングに使っても素早く反応してくれます。
チューニング中はオートパワーオフが無効になる
「Pitchclip2」には、電源切り忘れ防止のための「オートパワーオフ機能」が備わっています。
このオートパワーオフは、チューニング中(弦を弾いている間)には発動しない設計になっているため、意図せぬタイミングで電源が切れてしまうことがありません。
「YAMAHA YTC5」では、チューニングの途中でも3分経過すれば容赦なく電源が切れてしまうので、弦を張り替えたばかりでチューニングが安定しないときなどに不便を感じました。
「Pitchclip2」の場合、音を出している限り電源は落ちないため、弦交換直後のチューニングも快適です。
電池交換がラク
クリップ式チューナーの場合、電池の蓋を開けるためにわざわざコインを使わなければならないものもありますが、「Pitchclip2」は指でスライドするだけで蓋が開くのでとてもラクです。
もちろん、不本意に開いてしまうことはないので安心して使えます。
Pitchclip2のいまいちだった点
「Pitchclip2」のいまひとつな点、正確に言うと「人によってはイマイチと感じるかもしれない点」についても触れておきましょう。
- 超高精度のチューナーではない
- 440Hzでしかチューニングできない
- 針の動きのほうが分かりやすいかも…
- ディスプレイを畳んだ状態だとビビリ音が出る
以下、細かく見ていきましょう。
超高精度のチューナーではない
「Pitchclip2」のチューニング精度は決して悪くありませんが、超高精度のチューナーではないため、その点は理解しておくべきでしょう。
スペック的には「±1セント」の精度で、大半のクリップ式チューナーと同程度です。これは普段の練習などで使うには充分な精度でしょう。
ただし、オクターブチューニングなどのセッティングを徹底的に追い込んだり、プロフェッショナルな現場で使用するには、もう少し精度の高いものが必要かもしれません。
440Hzでしかチューニングできない
「Pitchclip2」は、基準となるピッチが440Hzに固定されているため、442Hzなど別の基準でチューニングしたい人には向いていません。
いつも440Hzでチューニングする人にはシンプルでよいのですが、基準を変更する必要がある人は別のチューナーを選びましょう。
針の動きのほうが分かりやすいかも…
一般的なチューナーは「針のようなもの」が動くことでピッチのズレを確認しますが、「Pitchclip2」は「ランプの表示」でズレを判断する仕様です。そのため、慣れていない人には少し分かりづらく感じるかもしれません。
特に、些細なピッチのズレは確認しづらいかもしれません。下の写真のように、ランプの濃さで微妙なズレの有無を判断することになります。
ディスプレイを畳んだ状態だとビビリ音が出る
「Pitchclip2」をヘッド部分に取りつけたまま演奏するのは問題はありませんが、ディスプレイ部分を畳んだ状態で演奏するとビビリ音が発生しやすいので注意が必要です。
上の写真のように本体がピタッと畳まれた状態だと、僅かですが「ヴィ~ン」という共振音が発生します。少しでもディスプレイ部が浮いた状態であれば、この共振音は発生しないようです。
共振音など気にしない人、畳んだ状態で使うことなどない人にとってはどうでもよい話ですが、畳んだ状態で演奏するつもりの人は要注意です。
おわりに
「KORG Pitchclip2」のよかった点、いまいちだった点について解説しました。
失くしたり、落として踏んづけてしまったり、そんな可能性のあるクリップ式チューナーにあまりお金をかけたくない人も多いでしょう。それでもなるべくまともなものが欲しい、というギタリストやベーシストにおすすめです。