バンド練習でボーカルの歌がよく聞こえない理由…。その対策方法とは?

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スタジオでのバンド練習時にありがちなのが、「ボーカルの歌がよく聞こえない」という問題です。

ボーカルの歌がよく聞こえないと、ボーカリスト本人は気分よく歌えません。「音楽」として考えた場合も、歌が聞こえないなど微妙なはず。にも関わらず、この問題を放置し続けているバンドは多いのではないでしょうか。

この記事では、バンド練習でボーカルの歌がよく聞こえない理由と、その対策方法について解説します。

楽器の音が大きすぎるだけ!!

ボーカルの歌がよく聞こえない原因は、ほぼ100パーセントこれでしょう。

「楽器の音量を上げすぎているせいで歌が聞こえないだけ」です。

楽器奏者にとって、自宅では決して出せない大音量で楽器を演奏するのは、この上ない快感でしょう。その快感を欲するあまり、つい音量を上げすぎてしまう人が多いのです。

そうした「自分の快感」を求めすぎると、その代償として「ボーカリストの快感」を奪うことになってしまいます。その行いは、音楽としてのバランスをも崩壊させているのです。

バンド練習は個人練習ではありません。バンド全体で「心地よい音」を奏でなければならないのです。歌がよく聞こえないバンドのことを、「いいな…」と思ってくれるリスナーなどいないでしょう。普通の人は皆、「歌」を聴いているのですから。

まずは楽器陣が、音量を上げすぎていることを自覚しなければいけません。

歌が聞こえないのはボーカリストのせいではない!

声量が足りないとか、発声が未熟だとか、もっともらしい理由とともに、ボーカリストを責めようとする人もいますが、それは間違いです。

優れた発声など簡単に求めてはいけない

優れたプロボーカリストの歌声は、たしかによく聞こえます。ですがそれは、大きな声を出しているからではありません。声帯を上手に鳴らすことができているからよく響き、よく聞こえるのです。

声帯を痛めずにしっかりと鳴らすのはとても難しく、かなりの訓練を必要とします。プロフェッショナルではないボーカリストに、そんなハイレベルな技術を当然のように要求するのも酷でしょう。

ただ単に大声を出すのは簡単ですが、その声はバンドに混ざると意外と通らないものです。しかも、簡単に声帯を痛めてしまいます。

発声が未熟でも歌は聞こえる

プロとして活動するボーカリストでも、発声スキルが未熟な人はいくらでもいるはずです。生歌だと全体的に安定せず、ハイトーンもフラット気味になってしまう人を見かけることは多いでしょう。

そんな「やや未熟なプロボーカリスト」の歌声は、バンドの音にかき消されて聞こえなくなるのでしょうか?もちろん、そんなことはありません。ミュージックステーションのような音楽番組でも、歌が聞こえないことなど普通はないでしょう。

つまり、「ボーカリストの技量」と「歌が聞こえない問題」とは、あまり関係がないわけです。

ボーカルに合わせて楽器の音量を下げよう!

ボーカリストに問題があるわけではない以上、調整しなければいけないのは楽器陣のほうです。

楽器陣は素直に楽器 (繋いだアンプ) のボリュームを下げましょう。歌の邪魔にならない程度まで、音量を下げていきます。

ボーカルの音量には限度がある

ボーカルがマイクのボリュームを上げればいいだろ?

そんなふうに思う人もいるかもしれませんが、それはできません。ボーカルのマイクボリュームは、上げすぎると簡単に「ハウリング」を起こしてしまうのです。

ハウリングとは、スピーカーなどから出る音をマイクが拾ってしまい、それがまたマイクで増幅され、再びスピーカーから出て…という具合に、出力音声がひたすらループし続けてしまう現象のことをいいます。

ハウリングが起こると、「ヒョロロオオオ~」といった酷い音が大音量で響き渡ってしまうので、マイクのボリュームはハウリングが起きない程度に抑える必要があります。

ベーシストは特に注意しよう!

スタジオでバンド練習をする場合、セッティングに時間を要する人と、そうでない人がいます。たとえば、ギタリストはエフェクターを何台か使うことが多く、それだけセッティングに時間が必要です。それに対し、ベーシストはエフェクターを使わないことも多く、すぐに準備を終えることができます。結果的に、バンド内でいちばん早く音出しを始めるのはベーシストになることが多いのです。

そのベーシストが自分の好きな音量まで上げてしまい、セッティングを終えたギタリストがその音量に合わせる…、というのがよくあるパターンです。音量バランスが崩壊するか否かは、ベースが鍵を握っている、と考えてもよいでしょう。

ドラマーはどうすればいい…?

ギターやベース、キーボードの場合は、アンプのボリュームを下げればよいだけですが、ドラムに関してはそうもいきません。レコーディングやライブの場合は、ドラムにマイクを立てたうえでの音量調整がありますが、スタジオ練習の場合、大抵は生の音で練習するため、ボリュームの上げ下げなど存在しないわけです。

そんなドラマーにできる唯一のことは、「力の加減」です。プロのドラマーの場合、ボーカルの音量に合わせて、叩く強さを加減することが多いといいます。

ただ、アマチュアの人がこれをやると、変な癖がついてしまう恐れもあるため、ドラマーは普通に叩いたほうがよいかもしれません。ギターやベースの音量が適切なら、ドラムが少々うるさいとしても、歌が聞こえなくなることはないでしょう。すべての楽器パートがやかましいより、よほどマシなはずです。

「コンプレッサー」で歌を聞こえやすくしよう!

ボーカルマイクを繋いだミキサーに「コンプレッサー」が内蔵されていれば、ぜひ使ってみましょう。聞こえにくかった歌声がグッと聞こえやすくなります。

ミキサーのつまみの中に「COMP」と書かれたものがあれば、それがコンプレッサーです。

コンプレッサーとは…?

コンプレッサーとは、ひとことで説明するなら、「大きな音を無理やり小さくする機械」です。ボーカリストにとっては馴染みのないものかもしれませんが、レコーディングなどでは必須となる機材です。

歌声というものは、たとえどんなに上手な人であっても、その音量にムラが出てしまうものです。レコーディングをすると分かりやすいのですが、何の処理も加えていない歌声がバンドサウンドに合わさると、声が遠くなったり近くなったりの繰り返しで、とても聞きづらい音源になってしまいます。

そこで役に立つのがコンプレッサーです。歌の中で「声が大きめの部分」に反応し、無理やりに音量を抑えてくれるのです。すると、全体的に音量が小さめの歌になりますが、その状態でボリュームを上げれば、全体的に聞きやすい歌となるわけです。

コンプレッサーの使い方

練習スタジオのミキサーに内蔵されたコンプレッサーは、レコーディング用途のものに比べて簡易的なものが多く、使い方もそう難しくありません。

マイクに向かって大きな声と小さな声を交互に出しながら、COMPと書かれたつまみを少しずつ上げてみましょう。声の大小のムラが徐々になくなり、音圧が上がったように感じるはずです。基本的には、そのつまみを調整するだけでOKです。(音量は自動で最適化されます)

あまり極端にコンプレッサーを効かせると、些細な口の音 (リップノイズ) すらもマイクにのってしまい、少し耳障りな印象になってしまいます。また、抑揚のないノッペリとした歌になってしまうこともあるため、出力される自分の声をよく聞きながら、ベストなポイントを探してみましょう。

おわりに

ボーカルの歌がよく聞こえない理由とその対策方法について解説しました。

この問題は、バンドメンバー全員が理解しなければ解決しません。あなたが楽器プレイヤーなら、ほかの楽器メンバーと一緒にボーカルさんに協力してあげましょう。あなたがボーカリストなら、この記事をメンバーに見せるなりして、協力をお願いしてみてください。

歌がよく聞こえないままの状態で練習しても、本当の演奏力、アレンジ力は身につきません。きちんと歌が聞き取れる状態こそが「普通」だと感じられるよう、音量への意識をしっかりとリセットしましょう。

この記事を書いた人
なかがわ
なかがわ

ギターを弾いたり、DAWで曲を作ったりします。ベース、打ち込み、REC&ミキシング、あとたまに歌も。今まで結構な時間を音楽に費やしてきたので、少しは皆さんのお役に立てるかも、と思いブログを書いています。ゲームやマンガも好きですが、必死で自重しています。

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