「バンド内恋愛禁止!」とか言ってる人とはバンドを組まないほうがいい

その他

バンド内での恋愛を禁止にしたがる人がいます。

「バンド内恋愛を禁止にすれば、きっとうまくいく…」

そう思っているのでしょう。ですが、問題なのはバンド内恋愛ではなく、「バンド内恋愛禁止!」と主張する人の頭の中です。

そして、そんな浅はかな思考の持ち主がバンドを引っ張っていこうとしているなら、うまくいく可能性は低いと思うわけです。

「バンド内恋愛禁止!」はわがまますぎる

バンド内での恋愛を禁止にしたい人の気持ちが分からないわけではありません。

たぶん、メンバー間の恋愛のもつれでバンドが解散するハメになったとかで、そういったことに振り回されるのはもうコリゴリなのでしょう。

でも、それなら男だけでバンドを組むとか、女だけのバンドにするとか、同性のみでバンドを組めばよいのです。同性同士での恋愛もあるにはあるのですが、可能性は一気に下がるでしょう。

「いや、おれはどうしても女ボーカルのバンドがやりたいんだよ!でも、男女のいざこざはもう嫌だ!だからバンド内恋愛を禁止にして…」

「女同士のバンドってメンバーが見つかりにくいんです。だから、バンド内恋愛禁止にして…」

というのは、わがまますぎると思うんですよね。

音楽の趣向的に、「おれはどうしても女ボーカルのバンドがやりたい!」というのは分かります。女性メンバーを揃えてバンドを組むのが難しいのも分かります。ですが、男女でバンドをやるという選択をしたなら、多少の面倒は受け入れるべきだと思うのです。

その面倒を受け入れようとせず、他人の「自由に恋愛する権利」を奪うことで解決しようとするのは、極端にいえば「犯罪者に近い思想」なのです。

「自分の要求や願望を叶えるためには、他人の権利を奪ってもよい」

…ですからね。そんなメンバーがバンド内にいる時点で、「かなり微妙」だと思うわけです。

「了承を得たからOK」ではない

「事前にメンバーの了承を得るんだから別に悪くない」

という人もいるでしょう。しかし、「了承を得たからOK」というものでもありません。

たとえば、「死にたい」という人がいたとしましょう。その人の了承を得たうえで命を奪った場合、いくら了承を得たといっても罪に問われます。人の生きる権利を奪ったからです。

了承を得たからといって、奪ってはいけないものもあります。人が自由に恋愛する権利も、個人が軽々しく奪ってはならないはずです。

それに、「自分がいつ誰を好きになるか」など普通は分かりません。予測できないことなのに、「メンバーのことを好きにならないでくださいね?」と約束させようとすることは少し卑怯なのです。

「いやぁ、いつ誰を好きになるかなんて分からないから、バンド内恋愛禁止って言われても了承はできないかなぁ…」

なんて言い返すことができる人など、なかなかいないでしょう。きっと、流されるように「うん、わかった」と返事をしてしまうはず。だから卑怯なのです。

そもそもの話として、“人が自由に恋愛する権利”を奪いとる権限が自分にある」と思っていること自体が間違いです。

どこぞの王国の君主ならともかく、「バンドをやっているただの一般人」にそんな権限があるはずないのです。権利を奪う対価として「多額のお金を払う」とかならまだしも、なにも与えないわけですから。

アイドルの恋愛禁止は合理性がある

ちなみに、アイドルグループがよく掲げる「恋愛禁止」については、それなりに合理性があると思っています。

そもそも、アイドルビジネスというものは、ファンに擬似的な恋愛感情を抱かせて、それを利用してお金を巻き上げる仕組みです。

それなのに、「実は私、イケメン彼氏とラブラブで~す!」とか、「おれ、モデル風美女と付き合ってます!」みたいになると、ファンは幻滅して一気に離れてしまいます。すると、当然ですが儲からなくなってしまうわけです。

経営する側、芸能事務所側としては、それではたまりません。そのため、恋愛を禁止にすることは一応合理性があると思うのです。

「キミにたくさん投資してあげますよ。グッズを作ったりライブをセッティングしてあげますよ。で、いっぱいお金儲けしましょう。キミにもたくさんお給料をあげますよ。だから、恋愛は我慢してね?」

…という理屈。モラルはさておき理解はできます。個人的には恋愛禁止ではなく、「徹底的に隠す」とか「シラをきる」でよいと思うのですが、それが難しいから恋愛自体を禁止にしたりするのでしょう。

一方、バンド内恋愛禁止については合理性がないわけです。

「おれは嫌なんだ!だから、お前らバンド内恋愛禁止な?」というのは、あまりに子供じみた理屈ではないでしょうか。

バンドには恋愛以外の問題がたくさんある

バンドというものは、基本的には「他人の集まり」です。それぞれ別の環境で育ち、別の意思をもった人同士。だから、考え方が違ったりするのは当然です。そんな他人の集まりだからこそ、話し合いがまとまらなかったり、ときには喧嘩にまで発展することもあるのです。

もちろん、相性のよい人同士であれば、もともとの考えが一致していたり、意見を譲り合ったりして、喧嘩になることなどほとんどないのでしょう。

それでもバンドは他人の集まり。いつどこでどうなるか、誰にも分かりません。そういった「未知の不安」を受け入れたうえで、「まぁ、やってみようか!」というのがバンドだと思うのです。

メンバー同士の恋愛も未知の不安のひとつ。「まぁ、そうなったらそうなったで別にいいでしょ!」みたいに受け入れてしまえばよいのです。

そもそも、未知の不安から「恋愛だけ」を取り除いたとしても、ほかの不安要素は存在し続けるわけです。

たとえば、楽曲のアレンジで意見が衝突する…、活動方針をめぐって意見が対立する…、「やる気」の温度差でもめる…。そうこうするうちに、バンド内の雰囲気が悪くなっていく…。

むしろ、恋愛以外の要素でのトラブルのほうが多いのではないでしょうか。現に、男同士のバンド、女同士のバンドでも、揉め事による解散やら脱退はよくある話でしょう。

つまり、バンド内の恋愛を禁止にしたところで、そういった他人同士のいざこざを防ぐことはできないわけです。

それなのに、恋愛だけ制限して一体どうするの…?という話です。バンドなんて他人の集まりなので、いつ誰がどうなるかなど分からないと割りきるべきです。

恋心なんて制御できない

「バンド内の恋愛禁止」と言われたところで、わき上がる恋愛感情などそう簡単に抑制できるものではありません。恋に多感な若者同士なら、なおさらです。いい歳の大人ですら自制できないことは、ワイドショーやネットニュースで毎日のように不倫報道がされていることからも明らかでしょう。

基本的に、人を好きになる気持ちなど抑えが効きません。「よし、この人を好きになろう!」などと決めてから好きになるのではなく、勝手に芽生える感情が「好き」という感情なのです。

バンド内恋愛禁止というルールを設けたところで、どうせギターの男がボーカルの女の子を好きになってしまうとか、キーボードの女の子がベースの男を好きになってしまう、といったことが起こります。

その結果、隠れてコソコソ付き合い出すとか、「恋愛禁止だから…」とモヤモヤし続けて集中力が下がるとか、そんなことになるんですよ。笑

だったら、最初からそんなルールはなくせばよいのです。バンド内恋愛禁止などほぼ無意味です。そんな無意味なルールにすがるほど色恋沙汰が嫌ならば、先にも述べたとおり、意地でも同性のみでバンドを組むべきです。

そもそも、バンド内の恋愛を禁止したところで、バンド外での恋愛にどっぷり浸かってしまうことだってあるわけです。その結果、バンドへのモチベーションが下がったり、練習中にスマホばっかり気にしてたり、恋人とケンカしたのか終始ローテンションだったり、遠出のデートで疲れたのかミーティング中に半分寝てたり…、といったことが起こるわけです。

そう考えると、「バンド内の恋愛禁止」というルールは本当に無意味だと思うんですよね。

「他人は思いどおりにならない」と理解する

バンド活動が順調となることを願うのは何も悪くありません。ただ、その目的のために「他人を従わせようとする」ことは間違いです。もっと正確にいうと、他人が自分の思いどおりになる」という思い込みを捨てるべきです。

他人の意思や感情が自分の思いどおりになるはずありません。だからこそ、友達が分かってくれない、先生が分かってくれない、親が分かってくれない、といった事態が起こるのです。

社会人になってもそれは同じです。上司はもちろん、同僚や部下にも分かってくれない人がいるはずです。親になっても、子どもがなかなか言うことを聞いてくれない、といったことがあるでしょう。

「他人が自分の思いどおりになる」と思っていると人生はつらくなります。この社会には思いどおりにならない他人が山ほどいて、そんな人たちとどうにかやっていかなければならないのです。

他人が思いどおりにならないたびにストレスを感じていては、自分の健康が損なわれます。だから、諦めることができるものは諦める、譲歩できるものは譲歩する、別の道があるなら別の道を行く、などしたほうがよいわけです。自分が変わるほうがよほど早いし、なにより「確実」です。

もし、「他人のほうが自分の思いどおりとなる“べき”である」と考えているなら要注意。それは「支配欲」といって、エスカレートすれば暴力や犯罪にもつながります。

「他人は思いどおりにならない」と理解して、自分のほうをあらためるほうがスマートです。

そんな人とうまくやれる…?

誰かとバンドをうまくやっていくには、音楽性どうこうも大事ですが、その人の性格や思想も重要なポイントだと思います。

上でも少し触れたように、バンド内恋愛禁止というルールを押しつけてくる人は、曲がった価値観による支配欲を少なからず持っています。そんな人とバンドを組むと、「あれはダメ」「これもダメ」と恋愛以外にも行動に制限をかけてきたり、他人のパートにも細かく口出しをしてきたりするんじゃないでしょうか。

要するに、「地雷の可能性大」なのです。

そんな人とでもうまくやっていけるなら問題ないですが、できることならそのタイプの人とは始めからバンドを組まないほうがよいと思うわけです。

それに、メンバーの幸せに制限をかけたり、いざ恋仲になった2人を許そうとしなかったり、要はメンバーの「より不幸な状態」を良しとする人と一緒に音楽をやって、一体どんなゴールを目指すのでしょう…?

他人を幸せにする音楽を目指すとしたら、盛大なる矛盾だと思いませんか?

すぐ傍にいる人の自由恋愛を阻害する人が、人の恋愛を後押しする曲を作ったり演奏したりするのも、なんだかなぁ…と思うのです。

そんな人と一緒にバンドをやって楽しいですか…?素敵な未来が見えますか…?

おわりに

バンド内恋愛に対する個人的な考えをひと通り述べました。

学生の頃、僕自身もバンド内恋愛禁止を要求されて、「うん、わかった」などと従った経験があります。今さらですが、こうやって反論すればよかったな、なんて思っています。笑

みなさんはどう思いましたか…?