「初心者でも高いギターを買うべき!」は間違いなので無視したほうがいい

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「初心者でも高いギターを買うべき」とか、「はじめの1本こそ高いギターを買うべき」と主張する人がいます。

しかし、そうした主張を真に受けてはいけません。そう主張する人は、自分自身の体験で頭の中が埋まっていて、「買う人の未来にどんな可能性があるか」を想像できていないのです。

この記事では、初心者が高いギターを買うべきでない理由について解説します。

9割の人は1年以内にギターをやめてしまう

初心者が高いギターを買うべきではない理由は、これに尽きると言ってもよいかもしれません。

実は、ギターを手にした初心者のうち、9割の人は1年以内にギターをやめてしまう、というデータがあるのです。

エレキギターの老舗ブランド、フェンダー社のCEOアンディ・ムーニー氏によると、大規模なユーザー調査の結果、そうした事実が判明したといいます。

「その初心者のうちの90パーセントの人は、1年以内もしくは90日以内でギターを辞めてしまう」というのです。

Rolling Stone Japan 老舗ギターブランド「フェンダー」が成長し続けている理由 より引用

9割の人がすぐにギターをやめてしまうと分かっている以上、初心者に高いギターを買うように勧めるなどもってのほかなのです。

「一生モノになるから」は間違い

「初心者でも高いギターを買えば一生モノになる」という人もいますが、それも大きな間違いです。正しくは、「“おれは”高いギターを買って一生モノになった」です。

「自分はこうだった!だからお前も絶対にそうだ!」という強引な論理が通るはずありません。脱サラして成功する人もいれば、失敗する人もいます。結婚して幸せになる人もいれば、心から後悔する人もいるのです。

単純な話ですが、初心者が高いギターを買って、それが一生モノになるという保証など、どこにもありません。そもそも、上で述べたように、9割の初心者はすぐにギターをやめてしまうのです。

すぐにやめてしまうなら、もちろん一生モノとはいえません。10年、20年とギターに没頭し、なおかつギターの好みが大きく変わったりしなかった場合のみ、一生モノといえるのです。ギター自体は長く続いたとしても、続けるうちに好みが大きく変わったりすれば、そのギターは結局使わなくなります。

一生モノにならなかった場合に、高いギターを買うよう勧めてきた人が全額返金してくれるのであれば、別に問題はないでしょう。ですが、どうせそんなことはしてくれないのですから、「高いギターを買うべき」を鵜呑みにしてはいけないのです。

ギターの好みはすぐ変わる

初心者のうちはギターのことをあまり知らないので、好みがないも同然です。せいぜい、「あの形がかっこいい!」とか「あの色がいい!」とか、見た目の好みぐらいでしょう。

もちろん、最初はそれでよいのです。ただ、その段階で「なんとなく」高いギターを買ってしまうと、割と早い段階で後悔する可能性もあるのです。

ギターに対する「好み」というものは、ギターを続けているうちにだんだん形成されていきます。特に、誰か特定のギタリストに強く興味をもったとき、それが顕著にあらわれるはずです。

「この人と同じような音が出したい!」
「この人と同じようなギターがほしい!」

そして、いよいよ別のギターが欲しくなるわけです。憧れのギタリストの使用ギターが、自分のギターとはタイプの異なるものだった場合、なおさらでしょう。

何かのきっかけで憧れのギタリストが変われば、それに合わせてギターの好みもコロッと変わったりします。特に、ギターを初めて数か月~1年といった初期のうちは、好みが生まれたり変わったり、変化が激しいかもしれません。

その「好み」がまともに形成される前に、「なんとなく」で大枚をはたくことは、ギャンブルみたいなものなのです。当たることもあるのですが、どちらかというとハズレる可能性のほうが高いわけです。特に、バリエーション豊富なエレキギターの場合、ハズレの確率も高くなります。

それでもギャンブルがしたい、と自ら思うのであれば、それは別によいかもしれません。ただ、知識の乏しい他人に対し、ハズレの確率が高いギャンブルをさせようとするのは、あまりよいことではないはずです。

高いギターを買うと挫折しにくい…?

「高いギターを買えば挫折しにくい」と主張する人もいます。

挫折を回避するために、高いギターを買うことで自分にプレッシャーをかける、という理屈は一応は理解できます。ただ、それを聞くたびにいつも思うことがあります。そんなモチベーションでギターを続けてどうするのでしょう…?

ギターを弾くことは、義務でも何でもありません。自分で好きだからやること、楽しいからやることだと思うのです。僕がギターを始めたばかりの頃、ちっともうまく弾けなかったわけですが、それでも毎日楽しくて仕方なかったことをはっきり覚えています。弾けないなりにも好きな曲をなぞったりして、家にいるあいだはずっとギターを抱えていました。

「うまく弾けないし、もう挫折しそう…。でも、高いギターを買ったんだし、がんばらなきゃ…」

そんなふうに思っている時点で、その人はもうギターに向いていないのです。うまく弾けなかった曲がなんとか弾けるようになる、でも次はこれが弾けない…。ギターはその連続です。そういった「攻略する過程そのもの」を楽しめない人は、残念ですがギターに向いていません。

ギターに手を出した結果、向いていなかったのであれば、さっさとやめてしまうべきです。もっと夢中になれる「別の何か」を見つけて、そこに時間を使うほうが人生は有意義なものになるはずです。なにもギターに固執する必要はないのです。

若い人ほど、向いていないと感じたら、すぐに「次」に移るべきです。その分、人生における充実した時間、楽しい時間が増えるのですから。

安いギターは弾きづらい…?

「安いギターは弾きづらいから…」という人もいます。

たしかに、そうした事実がないとは言いきれません。ですが、最近の安物はある程度のクオリティに達していることも多く、あまり気にする必要はないと思います。

YouTubeをザッと見ても、1万円ほどのギターでバリバリ弾き倒している人の動画がたくさん見つかるはずです。ちなみに、僕も1万円程度の格安ギターを所持していますが、普通に演奏できますよ。「安いギターで普通に演奏できるのは上級者だから」などと言う人もいますが、僕にはその理屈の意味が少しも理解できません。20年以上前、初心者だった僕は、安いアコギ、安いエレキで普通に演奏していましたから。

弾きやすいかどうかは、ギターの値段というより、相性やコンディションの問題です。ギターにもいろいろな種類があり、それによって弾きやすいと感じるか否かが変わってくるのです。

たとえば、ネックが薄いギターを弾きやすいと感じる人は、ネックが厚いギターを手にすると弾きづらいと感じたりします。また、コンディションが悪くてネックが反っていたりすると、ギターは弾きづらくなります。ただそれは、高いギターでも安いギターでも同じです。高いギターであっても、コンディションが悪ければ弾きづらくなります。

ちなみに、誤解されないよう言っておくと、僕は1万円前後の「安すぎるギター」の購入をおすすめしているわけではありません。安すぎるギターは作りが雑で、ピッチ(音の高さ)がおかしいとか、楽器として微妙なことも多いのは事実です。

高いギターは高く売れる…?

「高いギターを買えば、弾かなくなったとしても高く売れるから…」という人もいます。

たしかに、まずまずの金額で売れることはありますが、それでも「結構な金額を失うことになる」と認識しておくべきです。

たとえば、フェンダーの25万円ぐらいのギターを楽器屋に買い取ってもらうとしましょう。大手楽器屋サイトで公表されている買取情報によれば、最も高く売れた場合で12~13万円程度のようです。つまり、10万円以上の損失になるのです。(なんだかんだで、もっと安く買い取られてしまうことがほとんどでしょう)

ギターに限った話ではないですが、一部の例外を除き、モノの価値は中古になった時点で一気に下がります。「弾かなくなっても高く売れる」は事実かもしれませんが、購入価格の半分も返ってこない、と考えておくのがよいでしょう。

単なる承認欲求のことも…

「高いギターを買え!」と声高に叫ぶ人のなかには、自身のためにそう発言している人もいる、と知っておきましょう。

たとえば、安いギターでも充分だと主張する人、安いギターで満足している人がいたとしましょう。すると、高いギターにお金をつぎ込んで生きてきた人は、自身の行い、ひいては自分自身が否定されたと感じ、そのことが許せないわけです。その結果、「高いギターを買うべき」といった主張に繋がるのです。

「他人から自分を否定されたくない」「他人に自分を認めてほしい」といった欲求を、「承認欲求」といいます。承認欲求は、人間ならば誰もが持っている欲求ですが、欲求の強さには大きな個人差があります。この承認欲求を少しこじらせてしまうと、「高いギターを買うべき!」と執拗に他人に迫ったりするのです。

この場合、当然ですが初心者のことなど少しも考えてはいないでしょう。

大金は雑に使うべきではない

初心者がなんとなく高いギターを買うのには基本的に反対ですが、その人がお金持ちだった場合は例外です。高収入で貯金もたっぷり、お金にはまったく不自由していないとか、親がお金持ちで月のおこづかいが何十万とか、そんな人は最初から高いギターを買っても何の問題もないでしょう。

ただ、多くの人はそこまで余裕がなく、どちらかというとお金の不安とともに日々を過ごしているはずです。自分の5年後、10年後、子どもがいる人は子どもの5年後、10年後…。必要な出費、予期せぬ出費、いろいろあるでしょう。

先のことを考えれば、何十万というお金は大事にするべきです。まだギターの価値がよく分からない初心者の段階で、なんとなく高いギターを買うことは賢明な判断とはいえません。

ギターにのめりこんで、少しギターのことが分かってきた人が、2本目以降に高いギターを買おうとするのはまだよいと思っています。もちろん、「無理なく買える範囲で」という意味です。自分の収入や財力に対し、無理のある金額のギターを買うことは、中級者や上級者でもよくないと思っています。

日々健やかに暮らせるという土台があって、そのうえで「ギターが楽しい」は成立します。土台を崩さないためにはお金が必要です。だから、そのお金を雑に使うべきではないのです。

「高いもの」を買いたいのはなぜか?

そもそもの話ですが、「もっと安い」の選択肢があるなかで、わざわざ高いものを買う理由とはなんでしょう?

「素晴らしいものだから、高いお金を払ってでも買う」という考えは、もちろん理解できます。ただ、高いものを買う人のなかには、そうでない人たちもいるのです。

「高いからきっと素晴らしいんだろう…」「みんなが『いい』って言うから…」などと考えて、とりあえず高いものを買う…。そして、「高級品を買った人」というグループに属して、そのグループにいることで安心する…。その「安心感」を求めて高いものを買う人たちもいるわけです。

お金持ちの人なら、それでも問題ないでしょう。ですが、無理をしてそのグループに入る必要はないと思うのです。そのグループにこだわっていると、いつもいつも無理をしてお金を使うことになり、家計が圧迫されます。幻のような安心感のために高いものを買い続け、生活面でお金の不安を抱えるというのも、なんだかおかしな話だと思うのです。

なにより、そのグループに属さなくても、ギターを楽しむことなんていくらでもできますから。

おわりに

初心者が高いギターを買うべきでない理由について解説しました。

大きなお金はよく考えて慎重に使いましょう。あなたに高い買い物をさせようとする人は、なんの保証もしてくれない、ということを忘れないでください。

この記事を書いた人
なかがわ
なかがわ

ギターを弾いたり、DAWで曲を作ったりします。ベース、打ち込み、REC&ミキシング、あとたまに歌も。今まで結構な時間を音楽に費やしてきたので、少しは皆さんのお役に立てるかも、と思いブログを書いています。ゲームやマンガも好きですが、必死で自重しています。

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