フェンダーピックの違和感の正体は…。「中国製」と「アメリカ製」

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フェンダーのピックを通販で注文し、届いたピックを確認したところ、「おかしい」と感じました。もともと持っていたフェンダーのピックと比べて、何か違う感じがするのです。

その違和感の正体は、「生産国の違い」でした。

どうやらフェンダーのピックには、Made in China(中国製)とMade in USA(アメリカ製)があり、それらがごちゃまぜで流通しているのが現状のようです。

この記事では、フェンダーのピック事情、中国製とアメリカ製の違いなどについて解説します。

この記事は2020年に執筆したものです。現在は事情が変わっている可能性があります。

351 Shape Premium Celluloid

今回、僕が注文したのは、「Fender 351 Shape Premium Celluloid」という一般的なティアドロップ型のピックです。

このピックにもカラーバリエーションがいろいろあるのですが、とりあえず下の計20枚を注文してみました。

  • Ocean Turquoise(水色)× 10枚
  • Green Moto(緑色)× 10枚

このうち、「Ocean Turquoise」のほうは何年も前に買ったものを持っていて、今回ひさしぶりに追加で買ってみた、という経緯です。

同じ商品なのに見た目が違う

届いたピックを見た瞬間、とてもびっくりしました。なぜなら、僕がもともと持っていたものと「見た目がまったく違った」からです。

色の濃さがまったく違う

ピックの表面

左が何年か前に買ったもの(手汗でフェンダーのロゴは消えた)、右が今回注文して届いたものです。

ピックの裏面

この写真に写っている2枚のピックは、色違いのピックではありません。同じフェンダーの同じ色(Ocean Turquoise)のピック、商品名や型番的にはまったく同一のものなのです。

通販サイトの写真には、左側のピックと同じものが写っていたので、てっきりこの水色のものが届くと思ったのですが、そうではなかったのです。

調べたところ、色の明るいほう(写真左)が「Made in China」、色の濃いほう(写真右)が「Made in USA」のようです。

つまり僕の場合は、以前に買ったものが中国製で、今回あらたに届いたものが由緒正しきアメリカ製だった、というわけです。

ビニールの袋に何枚もまとめて入った形式で売られているものがありますが、その台紙を見ると「Made in China」や「Made in USA」とはっきり書かれています。

刻印された文字のニュアンスが違う

アメリカ製が届いたのなら良しとしよう、と思ったのですが、同時に注文した緑色のピック、「Green Moto」のほうをよく見ると、そちらはそちらでおかしな点があることに気づきました。

「Ocean Turquoise」と「Green Moto」

この写真を見て分かるでしょうか?

左のアメリカ製「Ocean Turquoise」に比べて、右の「Green Moto」は、フェンダーのロゴが少し違うのです。

「Ocean Turquoise」のほうは、Fenderの文字が立体的になっていて、爪先で触れるとザラつきを感じます。文字に沿った溝のようなものがあり、そこに金の塗料を流し込んでいるような作りです。どことなく色気のようなものを感じる仕上がりです。

「Fender」の文字が立体的で、触ればハッキリと分かる。

それに対し、「Green Moto」のほうは、Fenderの文字に立体感がなく、爪先で触れてもまっ平らなので感触が一切ありません。平面的なせいか文字も少し太く感じられ、なんとなく野暮な印象です。

こちらは文字が平面的。触っても感触がない。

調べたところ、立体感のない平面的なロゴは、中国製の特徴のひとつのようでした。

つまり、今回僕が注文したピック20枚のうち、「Ocean Turquoise(×10枚)」はアメリカ製、「Green Moto(×10枚)」は中国製だった、というわけです。

ちなみに、ロゴの右端にある登録商標マークの「R」も、10枚のうち半分ほどは外側に中途半端な囲いがあったりして、よく分からない仕様でした。

右のピックは「R」の外側が中途半端に円で囲われている。

少し厄介なのが、「立体的なロゴならばアメリカ製」とは言い切れない点です。

僕が数年前に買った「Ocean Turquoise(中国製)」ですが、このピックの刻印はきちんとした立体的な刻印になっていたのです。

よく見ると文字に沿った溝が確認できる。

残念ながら手汗で完全に消えてしまいましたが、たしかに立体感のある刻印でした。ここ数年のうちに、中国製のみロゴの仕様が変更になったのでしょうか…?

とにかく、「Fender 351 Shape Premium Celluloid」という商品のなかに、仕様の異なるものが混在しているのは間違いありません。

中国製とアメリカ製のクオリティ差

中国製とアメリカ製とで見た目が違うだけならまだよかったのですが、演奏に関わる面でもはっきりとした違いを感じました。

中国製は厚みにムラがありすぎる

中国製のピックを1枚ずつ手にとってチェックしてみると、厚みが明らかに違うのです。

今回はすべて「Heavy」のピックを注文したのですが、「Extra Heavy」に近い厚みのものがあったり、やや薄く感じるものがあったり、1枚1枚が本当にバラバラという印象です。純粋なHeavyよりも少し厚いものが多い印象でした。

アメリカ製は比較的安定している

それに対し、アメリカ製はそこまで大きなバラつきはない、という印象です。

正直にいえば、10枚のうち2枚ほど、わずかな厚みの違いを感じたのですが、ごくごくわずかな違いなので個人的には許容範囲でした。

フェンダー側にも事情がある…?

たかが数十円~百円程度のピックですが、プレイヤーにとっては演奏を左右する大事なアイテムです。はっきりと体感できるほどの品質差があるのは、残念と言わざるを得ません。天下のフェンダーが、なぜこんな低クオリティなピックを流通させているのでしょうか?

日本国内では、この問題について踏みこんでいるサイト等は見当たらなかったのですが、海外サイトを見てみると、「Made in China」についてそれなりに議論されている様子でした。

欧米の人たちも、やはりこのピックの違いには気づいているようで、中国製の品質の低さに嘆く声を多くのサイトで見かけました。

※海外通販サイト「sweetwater.com」からの引用。

どうやらフェンダー社は、ある時期から中国とアメリカの両方でピックを製造することになったようです。

中国では、低い賃金で労働をする人々が多くいるのが実情です。そうした都合上、企業側としては、中国で生産をすることで生産コストを抑えられる、というメリットがあります。フェンダー社にも、生産コストを抑えたいという狙いがあったのかもしれません。

また、ピックの素材である「セルロイド」というプラスチックは、とても燃えやすい性質をもっているため、大火災のようなトラブルにつながる恐れもある、といわれています。そのため、アメリカでは何十年も前から、セルロイド自体を排除しようとする動きがあるようです。もしかしたら、そうした環境問題的なことも絡んでいるのかもしれません。

真意のほどは分かりませんが、フェンダー側もさまざまな事情を抱えているのでしょう。

おわりに

フェンダーのピック事情、中国製とアメリカ製の違いなどについて解説しました。

ピックにもたくさんの選択肢がある昨今、バラつきが激しいと分かっているものは避けて、比較的安定したものを選ぶのが賢明かもしれません。

この記事は2020年に執筆したものです。現在は事情が変わっている可能性があります。

この記事を書いた人
なかがわ
なかがわ

ギターを弾いたり、DAWで曲を作ったりします。ベース、打ち込み、REC&ミキシング、あとたまに歌も。今まで結構な時間を音楽に費やしてきたので、少しは皆さんのお役に立てるかも、と思いブログを書いています。ゲームやマンガも好きですが、必死で自重しています。

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