【ヘッドホン】MDR-CD900STが定番なのは日本だけ…!?無理して使う必要なし!

SONY MDR-CD900ST DTM / DAW
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音楽制作用のモニターヘッドホンのなかでも“超”がつくほどの定番、SONYの「MDR-CD900ST」。

レコーディングなどのプロフェッショナルな現場で、必ずといってよいほど使われることで有名です。「プロが使うんだし、コレを買っとけば間違いないんでしょ?」と、見よう見まねで買った人もたくさんいることでしょう。

ですが、この「MDR-CD900ST」、海外では定番でも何でもない、と知っていましたか?

この記事では、「MDR-CD900ST」に関する国内外の事情や、このヘッドホンを使う人の心理などについて解説します。

海外ではむしろ「人気がない」

国内では圧倒的なシェアを誇る「MDR-CD900ST」。

1989年に発売されて以来、今日に至るまで業界のスタンダードとして、あらゆる制作現場で使用され続けてきました。

しかし、海外となると話は別。定番どころか、ほとんど使われていないのです。

引用元:SOUNDGUYS

海外の音楽系サイトを見て回っても、「audio-technica」「SENNHEISER」「beyerdynamic」「AKG」といった別メーカーのヘッドホンが人気を集め、「MDR-CD900ST」が支持されている様子は少しもありません。

同じく海外のショッピングサイトを調べても、「MDR-CD900ST」が売れている様子はなく、それどころか扱ってすらいないことがほとんどのようです。

同じSONYでも、「MDR-7506」のほうは海外でも一定の支持があり、プロの現場でもたびたび見かけるといわれています。

なぜMDR-CD900STを使い続けるのか

「MDR-CD900ST」が発売されたのは、もう30年以上も前のこと。おまけに、国外ではまったくといってよいほど使われていないのが現状です。

それなのに、なぜ国内においては圧倒的シェアを占め続けるのでしょうか?

それだけモノがよいのだ、と主張する人もいます。しかし、本当にそれが事実であれば、欧米でもそれなりに評価されるはずです。フェンダーのギターが世界中で支持されるように、本当に素晴らしい出来ならば、国境をこえて広く支持されるはずなのです。

「MDR-900ST」が国内でいまだに売れ続ける理由は、「モノがよいから」とは別にあるのではないでしょうか。

たとえば、「プロはみんなこれを使っているから…」という理由で、あまり深く考えずに購入に至る人は山ほどいるはずです。もし、ほかのヘッドホンを選ぼうものなら、「分かってないヤツ」の烙印を押される気がして、なんとなく同じものを選んでしまうわけです。

こうした心の働き、および行動のことを「同調」といいます。要は、「人と違うことを恐れる」「皆と同じであることに安心を覚える」という心理です。特に日本人は、人と違うことを極端に恐れる傾向にあるのかもしれません。

そうした「同調」とはまた別に、音楽の仕事をしている人の場合、現場で「MDR-CD900ST」が使われている都合上、自宅でも同じ音を確認するために所持しておく、ということもあるでしょう。スタジオを運営する立場にある人なら、結局みんなが使いたがるので用意せざるを得ないかもしれません。

要するに、「MDR-CD900ST」を心から「よい」と思っているわけではなく、別の理由で購入、所持している人たちが大勢いると思うのです。

もちろん、「モノがよいから」という理由でこのヘッドホンを使い続ける人もいるのでしょう。ですが、そうでない人たちもたくさんいるのではないでしょうか。

MDR-CD900STの使い道

そもそも「MDR-CD900ST」は、「モニターヘッドホン」といわれる類のもので、音楽鑑賞に使用することを想定して作られたヘッドホンではありません。

「あら探しをするのに最適」などとよく言われるように、演奏時のこまかいミスや歌唱時のリップノイズなど、レコーディングした音に問題がないかをチェックするには優れた性能を発揮するといえるでしょう。

一方で、ギラギラした高音が耳につき、決してナチュラルとはいえない音で、聴き疲れしやすいのも事実です。リスニング用としてはもちろん、ミキシングなどの「音を調整する作業」に使うのも、個人的には不向きだと感じています。

このヘッドホンを「バランスがよい」と主張する人もいるのですが、その多くは「プロが使っているんだから素晴らしいんだ!」という思いこみや決めつけからくる発言のように感じます。長い時間聴いていると疲れてしまうものを「バランスがよい」と解釈するのは、少し無理がある気がします。

要するに、シビアなチェック作業には使えるけれど、それ以外の用途にはいまひとつなわけです。

「微妙」と思ったらほかのヘッドホンを

個人的な意見ですが、自宅でのDTM作業にヘッドホンを使う場合、もう少し汎用性のあるものを用意したほうが便利だと思います。

一般的な住居の場合、モニタースピーカーで充分な音量を出すのは近所迷惑等を考えると難しく、音量を絞って使うしかありません。ミキシングの際、小音量でバランスよくミックスするのは困難なため、ヘッドホンも使えたほうが便利なのです。

冒頭でも述べたように、海外では別メーカーのヘッドホンが使われています。日本でも海外の定番品は普通に販売されているので、「MDR-CD900ST」以外にも選択肢はいろいろあるわけです。

もちろん、仕事で「MDR-CD900ST」を使わざるを得ない人は仕方がないし、気に入っている人はそのまま使い続ければよいでしょう。DTMの初心者で、「どうしてもMDR-CD900STが気になる!」という人は、試しに買うのもよいと思います。(できれば事前に試聴したほうが◎)

ですが、かつての僕のように、「正直なんとなく使っている」「なんとなく買おうと思っている」という人は、別のヘッドホンも視野に入れて考えたほうがよいと思います。

AKG K240 Studio

一応、僕がDTMでよく使っているヘッドホンを簡単に紹介しておきましょう。AKGの「K240 Studio」です。

AKGのモニターヘッドホンは海外だと割と定番で、「K240 Studio」はAKGのなかでも昔からあるモデルです。

「MDR-CD900ST」のような痛々しい音ではないので、リスニングやミキシングといった用途にも使えます。

「K240 Studio」はセミオープン式のヘッドホンなので、ヘッドホンの外へ若干の音漏れがありますが、宅録でギターをライン録りするとか、ミキシングで使用するなら特に困らないと思います。

おわりに

「MDR-CD900ST」に関する国内外の事情などについて解説しました。

「プロの現場ではMDR-CD900ST」という動かぬ事実がある以上、どうしてもほかのものを選びづらかったりするのですが、「海外では使われていない」ということもまた事実です。

モヤモヤしている人は、堂々と別のヘッドホンに手を出してみてはいかがでしょう…?

この記事を書いた人
なかがわ
なかがわ

ギターを弾いたり、DAWで曲を作ったりします。ベース、打ち込み、REC&ミキシング、あとたまに歌も。今まで結構な時間を音楽に費やしてきたので、少しは皆さんのお役に立てるかも、と思いブログを書いています。ゲームやマンガも好きですが、必死で自重しています。

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