ドラム音源での音作りに納得いかないとき見直したいポイント

DTM / DAW

とりあえずドラムの音さえ鳴っていれば・・・。

打ち込みを始めたばかりの人なら、そんなふうに考えるのも当然です。

でも、だんだんとドラムに対する理解も深まり、そのうち「こんなドラムの音がいい!」と理想が芽生えたりするものです。

ドラム音源のサウンドを理想に近づけるには、コンプやEQの設定以前に理解しておきたいポイントがいくつかあります。

ここでは僕の経験を交えつつ、それらのポイントについて解説しようと思います。

エディット前の「音選び」を見直す

ドラム音源での音作りではコンプやEQの設定も大事ですが、それよりも「もともとの音が一体どんな音なのか」がとても重要となります。

どんなに頑張っても「違う音」にはできない

いくらドラム音源で細かいエディットができるとしても、まったく違うタイプの音にはできないと思ったほうがよいでしょう。

たとえば、ド~ン、ド~ンと重く響きわたる感じのバスドラムの音がほしければ、そういった出音のバスドラムが必要です。少しあっさりしたタイトな響きのバスドラムを使っているのに、重低音たっぷりのバスドラムの音を目指しても、なかなか狙ったサウンドにはならないのです。

この点を理解せずに音作りを始めてしまうと、デフォルトの音から著しく劣化した「変な音」になりがちです。

イメージに近い音を探してみる

細かいエディットなどに手をつける前に、まずは最もイメージに近い音を探すのが先決です。

ドラム音源の多くは、スネアなどの各パーツを別のものに入れ替えることが可能です。

リストアップされた中から好きなものに変更できる

よく音を聴きながら各パーツを入れ替えてみて、自分のイメージに近い音がないか探してみましょう。

サイズによる音の違いも理解しておく

ドラムセットの各パーツにはさまざまなサイズが存在します。

たとえばスネアなどの皮モノには口径や深さといった要素があり、それによって出音も大きく変わります。シンバルにもサイズや厚みの違いがあり、それによって音の響きは違ったものになります。

単にスネアといってもいろいろな種類がある

また、サイズが同じでもメーカーによって音のキャラクターは異なる、という点も理解しておくとよいでしょう。

ピッチの変更を試してみる

ドラム音源の中には、ピッチ (チューニング) を変更できるものがあります。

たとえばスネアのピッチを上下すると、少し高い音になったり、少し低い音になったりして、音の印象も随分と変わるはずです。

ピッチを変更するだけでも理想のイメージにグッと近づくことがあるので、デフォルトのピッチのまま音作りをしていた人は試してみるとよいでしょう。

音源の買い替えも視野に入れる

手持ちのドラム音源の音が自分のイメージするドラムの音とまったく違うと感じる場合、新しいドラム音源の購入を検討するのもアリでしょう。

いま売られている人気のドラム音源のほとんどは、豊富な拡張性を備えています。最初から収録されている音があまり好みでないとしても、各パーツの音を追加で購入することができるため、理想のドラムサウンドを追求しやすくなります。

音源を買い替えるだけであっさり悩みが解決することもあるので、予算が許すなら考えてみるのもよいでしょう。

実際に自分の曲のなかで使用してみると、音の違いがはっきりと分かります。デモ版があれば購入前に試してみることをおすすめします。

僕が宅録初心者だった頃、ドラム音源で理想の音を作るのに四苦八苦していました。あるとき思いきって別のドラム音源を購入したのですが、いざ使ってみて驚きました。スネアの音は欲しかった音にとても近く、シンバルにいたっては欲しかった音そのものだったからです。笑

コンプやEQをテキトーにいじらない!

コンプやEQのことをあまり理解せず、いい加減に使っていてはなかなか思いどおりのサウンドになりません。

特にコンプレッサーの扱いは難しく、なんとなくでパラメーターをいじってしまうと迫力のあるサウンドになるどころか、ほかのパートに埋もれて前に出てこない「引っ込んだ音」になってしまいます。

いい加減にいじってしまうくらいなら、プリセットの音をそのまま使ったほうが遥かにクオリティの高いものになるはずです。自分で理想のドラムサウンドを追求したい人は、コンプやEQの使い方について一度しっかりと勉強することをおすすめします。

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プロエンジニアが監修したような本格的な本に目を通すと、多くの学びが得られると思います。

コンプレッサーは入力レベルによって効果が大きく変わってしまいます。雑誌などに紹介されているセッティングをそのまま真似てもよい結果にならないことが多いので、その点は注意が必要です。

僕の場合、サウンドデザイナーのような雑誌やレコーディング関連の専門書を買って日々研究をしていました。これらの本ではプロの具体的なセッティング例はもちろん、エンジニアによってコンプやEQの使い方がまるで違うことなども分かり、とても参考になりました。

別パートの音がドラムにも影響する

ほかのパートの音がドラムに悪影響を及ぼし、その結果としてドラムの音がいまひとつに聞こえてしまうこともよくあります。

ベースの低域は影響大

ベースの低域はバスドラムと帯域的に被っているため、場合によってはバスドラムのどっしりとした響きの邪魔をしてしまいます。そうなるとバスドラムが存在感のない音に聞こえてしまうのです。

また、ベースの低域がスネアの胴鳴りと被り、スネアの音が軽く聞こえてしまうこともあります。

ベース音源のなかには低域がかなり持ち上がっているものもあるため、注意が必要です。

ボーカルが影響することも

ガッツのある歌に聞かせようと、ボーカルに対して過剰にコンプレッサーを掛けてしまうことも宅録初心者にはありがちです。

過剰にコンプが掛かっていると、ボーカリストの声質や歌い方によっては、かなり低域が持ち上がってしまいます。その結果、ドラムの音にも悪影響を及ぼしてしまうのです。

歌の録音にダイナミックマイクを使用している場合、マイクの特性的にも低域が強調されやすいため、特に注意が必要です。

おわりに

ドラム音源での音作りに納得いかないときに見直したいポイントを紹介しました。

ドラムの音といっても周波数的には上から下まで幅広く出ているため、結局はすべてのパートと相互に干渉します。そのため別パートの処理の仕方もポイントとなるのですが、まずはここで紹介した点を意識してみるとよいでしょう。

なかなか納得のいく音にならない人は、これらを踏まえてもう一度理想のドラムサウンド作りに励んでみてください。